アイ'エムセップは世界で唯一、溶融塩電気化学を専門とする研究開発型ベンチャーです

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レアメタル・レアアース リサイクル

ネオジム磁石からの希土類リサイクルを例に

希土類金属は、先端産業において不可欠な元素となっており、例えばネオジム−鉄−ボロン系の高性能希土類焼結磁石(ネオジム磁石)は、ハイブリッド自動車やエアコン、ハードディスクなどの用途に広く用いられています。一方で、希土類金属は偏在性が高く、また元素によっては確認埋蔵量も非常に少ないため、我が国が将来にわたり希土類元素の安定供給を確保するためには、国内に存在するスクラップから希土類金属を効率良くリサイクルする必要があります。

従来、ネオジム磁石スクラップからの希土類成分の回収では、例えば多量の酸を用いて全量を溶解した後、アルカリにより鉄分を沈殿させ、残った溶液から希土類成分を酸化物として回収しています。さらに、希土類成分を元素毎に分離回収するためには、 高価で環境負荷の高い溶媒を使った50段以上の段数の抽出分離工程が必要であり、リサイクルコストに大きな影響を与えています。

このような溶媒抽出法により取りだされた希土類成分は、最終的には希土類酸化物などへと変えられ、現在でも、溶融塩電解により希土類金属として再生されています。そもそも溶融塩電解は、ネオジム磁石の金属原料であるネオジムやディスプロシウムなどの希土類金属が同方法で生産されるように、希土類元素の取り扱いを得手としています。従って、リサイクル工程の最終段階としてこの溶融塩電解を必ず実施する必要があるのであれば、上記のような希土類元素分離も含めて、この溶融塩電解だけで全てのリサイクルプロセスを完結させるのが最も好ましいと考えます。

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電気化学インプランテーション/ディスプランテーション

アイ’エムセップ株式会社では、これまでに溶融塩中での希土類元素の電気化学的な挙動について膨大な研究データを蓄積してきております。また、希土類−遷移金属の電気化学的な合金化/脱合金化(電気化学インプランテーション/ディスプランテーション)に関する知見も数多く集積しています。

電気化学インプランテーション

例えば、溶融塩中での希土類イオンの電気化学的な還元反応を利用して、陰極として用いる母材と希土類金属との合金を形成させる(電気化学インプランテーション)ことが可能です。

Dy(Ⅲ) + 2 Ni + 3 e- → DyNi2 (Dy-Ni系での一例)

電気化学ディスプランテーション

さらにこの希土類合金を陽極として用いて、溶融塩中で電気化学的に陽極溶出することにより、合金相から希土類金属をイオンとして選択的に溶出(電気化学ディスプランテーション)させることが可能です。さらに、この際の陽極電位の制御により、ディスプランテーション後の組成を、希土類リッチな合金相から、完全に溶出させて元の母材組成とするまで、自由にコントロールできます。

3 DyNi2 → Dy(Ⅲ) + 2 DyNi3 + 3 e- (Dy-Ni系での一例)

この電気化学インプランテーション/ディスプランテーションを利用すれば、NdやDyを、単に純金属として析出・溶出させるだけでなく、適当な母材金属との合金形成、そしてその合金相からの選択的溶出を利用することで、より効率よく(少ない電解処理サイクル数で)NdとDyを分離できる可能性があります。

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バイファンクショナル電極を使った、新しいリサイクル技術

(特開2009-235552)

アイ’エムセップの有する知見とノウハウを用いれば、溶融塩電解だけで、ネオジム磁石からの希土類金属の選択的回収プロセスを構築することができます。
このプロセスの原理の一例を下図に示します。電解装置は、金属溶出用電極と金属回収用電極、およびバイファンクショナル電極からなります。
バイファンクショナル電極とは、同一の電極で必要に応じて陰極としての機能と陽極としての機能を担うことのできる二機能性電極を表します。

まず最初に、リサイクルの対象となるネオジム磁石を陽極として設置します。バイファンクショナル電極(陰極)との間で通電を行い、この際の陽極電位を制御することで、ネオジムやディスプロシウムを選択的に溶融塩中に陽極溶出させ、希土類以外の磁石成分(Fe、Bなど)を陽極中に残留させます。
通電終了後、次はバイファンクショナル電極を陽極、金属回収用電極を陰極として通電を行います。この際、陰極に使用する金属を適切に選択し、陰極電位を制御することで、溶出した希土類金属のイオンを選択的に還元し、母材金属と合金化させることができます。
必要に応じて陰極で形成した合金を再度陽極として用い、選択的陽極溶出と選択的陰極析出(合金化)の工程を繰り返すことで希土類元素ごとの分離効率を高めることができます。

このようにして、最終的にはネオジム磁石に含まれるネオジムやディスプロシウムなどの希土類金属を元素毎に分離回収すること、あるいは精密に組成が制御されたNd-Dy合金として回収することが可能となります。

バイファンクショナル電極の模式図

あらゆる希少元素のリサイクルプロセスへ適用可能

上記と同様に、タンタルやニオブなどを含むコンデンサ材料、貴金属を多量に含む触媒材料、太陽光発電素子や液晶パネルなどで用いられる半導体材料など、あらゆる材料からの希少元素の回収と、さらにはその高付加価値化について、魅力的なご提案が可能です。