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常圧アンモニア電解合成

水と窒素からの常圧アンモニア電解合成法

(特許第5127385号)

窒素ガスを供給する陰極(ガス拡散型電極)では、窒素ガスが還元されナイトライドイオン(N3-)が生成します。このナイトライドイオンは、さらに溶融塩中に供給される水(水蒸気)と反応してアンモニアを生成します。ここで生成する酸化物イオン(O2-)は、陽極(不溶性陽極)上で酸化されて酸素ガスを生成します。これら一連の反応式と全反応式は以下の通りです。
陰極:   1/2 N2 + 3 e- → N3-
電解浴中: N3- + 3/2 H2O → NH3 + 3/2 O2-
陽極:   3/2 O2- → 3/4 O2 + 3 e-
全反応式: 1/2 N2 + 3/2 H2O → NH3 + 3/4 O2

この全反応式に対応する理論電解電圧は1.17V(T= 600 K)となりますが、実際の電解においては電解浴中での化学反応に伴うエネルギー損失分を回収することが技術的に難しく、最小でも2.0V程度の電圧が必要と考えられ、1トンのアンモニアを製造するのに必要な電気エネルギーは約34GJとなります。

この値は、1世紀にわたって改良を積み重ねてきた現行技術「ハーバー・ボッシュ法」と同程度のエネルギー消費※に相当しています。一方、ハーバー・ボッシュ法では、天然ガスや石炭などの化石資源を原料および燃料として利用しており、大量の二酸化炭素を生み出しています。それに対して本電解合成法は、二酸化炭素を排出しない”zero emission”なので、極めて魅力的で優れていると言えます。

また、アイ’エムセップでは、効率的なセル構成(発展型セル)により、上記の全反応式に対応する理論電解電圧 1.17V(T= 600 K) で電解できる方法を提案しております。

この発展型セルでは、浴抵抗等による電圧ロスを考慮しても1.5V以下の電圧でアンモニアを合成できると考えられます。この場合、1トンのアンモニアを製造するのに必要な電気エネルギーは約25GJ以下となり、ハーバー・ボッシュ法を凌駕する新たな手法として、積極的な検討を進めています。

化石資源に頼らずに、1世紀の歴史を持つハーバーボッシュ法よりも低エネルギー消費で製造できる可能性があることに加え、太陽光や地熱、水力、風力など、使用する電気エネルギー源に選択の自由度があることは、今後必要となる地球共生型のアンモニア生産とその規模拡大を考えると、大きなメリットです。

(※ハーバー・ボッシュ法では、1トンのアンモニアを製造するのに天然ガスの燃焼熱量としておよそ30~35GJ必要とされています。"電気エネルギー"と"熱エネルギー"の違いがあるので、比較する際には電気エネルギー源が何であるか、など注意が必要です。)